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焙煎度合と風味

NEWクロップが入荷し始めました♪

「クロップ」とは日本語で「収穫物」を意味する言葉。つまり、ニュークロップとは、新しく収穫されたコーヒー豆。お米で言うなら新米です。

コーヒー豆も自然の作物。同じ農園の豆でも、その年の雨量や天候によって風味が変わってきます。

今年のコーヒー豆のプロファイルを作るため、どの焙煎度合いが良いか比べてみました。190℃、192℃、194℃、197℃、この4つの温度で比較です。

最初に焙煎した豆は、エチオピア産「モカ・イルガチェフェ・コチャレ」。

低い温度で焙煎したコチャレは、柑橘類を想わせる酸味があり、ラズベリーを想わせるフルーティーさが強く、甘味も強。

焙煎温度が高くなると、甘味に対する酸味のバランスが良くなり、その分、ラズベリーを想わせるフルーティーさが弱く… カラメルを想わせる風味が強く感じられるようになりました。

私は、酸味がありフルーティーさが強く残っているほうが好み♪ 焙煎度合いによる風味の比較実験、次が楽しみです。…

 

コーヒーの楽しみ方

食べたり飲んだりすることは生理的に必要なことですが、それ以上に、とても豊かな経験をすることができるのが飲食の素晴らしさです。

食べ物や飲み物の味は、舌にあるレセプター(味覚センサー)により5種類の味(苦味・酸味・塩辛・甘味・うま味)と各自のニュアンスを感じることができます。しかし、私たちは2000種類以上ものフレーバーの違いを感じる能力を持っているのです。
このように数多くのフレーバーを感じることができるのは、実は嗅覚によるものなんです。どんな食べ物や飲み物の味も、味覚と嗅覚を刺激する成分のコンビネーションによって決まります。鼻が詰まっている時など嗅覚がブロックされている時、食べ物はまるで味がしないように感じるのはそのためです。

これを踏まえて、今日の本題へ入ることにしましょう。

コーヒーの味をより楽しむ方法です。カッピングというテクニックがあるのですが、残念ながらこれはカフェやレストランではできません(行儀がいい方法ではないためです) そこで、同じ原理を利用した美味しいスペシャルティコーヒーを味わう方法をお伝えしましょう。特に、フローラルやフルーティー、またはカラメル風味のコーヒーを味わうのにお勧めです。なぜかというと、フローラルやフルーティー、カラメル風味のコーヒーは、今からお伝えする方法で風味をより感じやすいからです。
Diniz Specialty Coffeeの豆だと『グアテマラ/ラ・フォーリ』、『ブラジル/トップスカイ』、『ブラジル/ゴールドチェリー』、『エチオピア/シダモ』です。

さて、コーヒーを味わう方法です。

1, まず、香りを楽しむため、カップを口に近付け息を吸います。
2, 息を吐き、その後、もう一度深く息を吸いながらコーヒーを口に含みます。
3, そして、ゆっくりとコーヒーを噛みます(コーヒーに含まれている成分が口中に広がるようにするため)。
4, コーヒーを飲み、その直後口を閉じたままの状態で、肺にある空気を鼻から出します。

口にコーヒーがある時に感じる甘味や酸味は、液体のコーヒーに含まれている蒸発しやすい香りの成分。これらをより感じるのです。コーヒーを飲んだ直後、口を閉じたままの状態で鼻から息を吐く時、蒸発しにくい成分の香りを喉の奥で感じるのです。

そのコーヒー本来の味というのは、そのコーヒーに含まれる全ての成分を感じることができた時に味わうことができるのです。

さあ、美味しいコーヒーを淹れて試してみてください。感じるコーヒーの味に、きっと違いを感じますよ。…

 

カフェイン0.07%

ノン・カフェインやカフェイン・レスのコーヒーを好む方へ嬉しい情報です。

現在、ノン・カフェインやカフェイン・レスのコーヒーを製造する場合、水やガスを使いカフェインを取り除いているのですが、味が落ちてしまうという課題があります。

ブラジルにあるカンピーナス農業研究所(IAC)の報告によると、研究所で栽培している3000本のエチオピア原種のコーヒーから、カフェインレスのコーヒーが3本見つかったそうです。実はこれらの木、1965年からコーヒーのDNAバンクに保管されていたのですが、発見されたのは約40年後の2003年でした。

研究結果は、2004年のNATUREに掲載されています。記事はコチラ→NATURE

通常のアラビカ種のコーヒーは、1%~1.2%のカフェインを含んでいるのに対し、その3本には0.07%のカフェインしか含まれていないそうです。

カフェインレスのコーヒーの木は、通常より30%ほど成長に時間がかかるそうですが、現在、実用化に向けて研究が進められ、苗木が栽培されています。研究には約10年必要だそう。

研究開始から6年。自然な形でカフェインの含有量が少ないコーヒーというのが、市場に出まわる日も近いのかもしれませんね。…

 

Jacu Bird Coffee

高価なコーヒーとして知られているKopi Luwak。ジャコウネコの糞から採られるコーヒー豆というのは、ご存知の方も多いと思います。

そのブラジル版「Jacu Bird Coffee」

左上の写真がジャク。ブラジルの森に生息する鳥で、体長は85cmほどです。

このジャクがコーヒーの実を食べ、種(コーヒー豆)が未消化のまま糞として出されます。その排出されたコーヒー豆から作られたコーヒーが「Jacu Bird Coffee」です。

左下の写真が、採りたてのJacu coffee!

実物を初めて目の前にした時は、「えッ、これを飲むの!?」と、驚いてしまいました。

農園主のHenriqueさんは、ジャクの糞から美味しいコーヒーを作り上げるまでに1年半の時間を費やしたのだそう。

どのようにコーヒーができるのか興味がある方は、下をクリック。3分30秒くらいから、収穫の様子が見られます。TV globo rural [E:tv]

日本でも1年ほど前に、朝日新聞でJacu coffeeのことが取り上げられたようです。記事はコチラ

一番初めに、この種のコーヒーを作ってみようと考えた方の発想と勇気に拍手。私はまだ、Kopi LuwakもJacu coffeeも飲んだことがありません…  …

 

coffee カリオカ

ブラジルのカフェのメニューに『café carioca』があります。

どんな飲み物かというと、エスプレッソに約20mlのお湯を入れて薄めたもの。

『カリオカ』とは、『リオ・デ・ジャネイロで生まれた人』のことです。

サン・パウロ州で生まれた人は「パウリスタ」、ミナス・ジェライス州で生まれた人は「ミネイロ」、バイーア州で生まれた人は「バイアーノ」と呼び、各州ごとに呼び名があるのです。

さて、『café carioca』の由来。リオ・デ・ジャネイロの人々が薄いコーヒーが好きかというと、そんなことはないようです。では、なぜエスプレッソを薄めたものを、『cafe carioca』と呼ぶようになったのか… 知っている方、ぜひ教えてください。

[E:clip]写真は、リオ・デ・ジャネイロの観光名所。キリスト像や、マラカナのスタジアムにあるペレの足跡など。

 

コーヒー収穫事情- Brazil

7月28日のブラジルのニュース 「Jornal Nacional」より

映像が見られない方はこちらをクリックしてください→Jornal Nacional

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2010年のブラジルのコーヒー収穫予想量は500万袋(1袋60kg)。

雨の影響で、コーヒーの収穫の開始が約2ヶ月も遅れた地域があります。(ブラジルは日本の約27倍。1つの国とはいえ、気候の差はかなり大きい)

遅れた理由は、例年の収穫開始時期の5月に入ってもコーヒーの実は熟してなく、青かったため。それらの実が熟すのを待っているうちに2ヶ月近く過ぎ、しかも、次の花が咲き始めたというのです。

ブラジルの主なコーヒー生産地は、ミナス・ジェライス州、サン・パウロ州、そしてパラナ州。

これら多くの農園が、収穫作業を機械化しています。ところが、機械は『熟した実』『熟してない実』全てを採ってしまうのです。そのため、手作業での収穫が必要になります。
機械では3ヶ月間で終わる収穫作業。手作業にすると、その倍。6ヶ月間もかかります。

農家で働いている男性は「手作業は、枝が折れたりしないよう細心の注意が必要だし、難しい」と話します。

熟していない『未熟豆』が混ざると、コーヒーの味に悪い影響を与えるため、質が下がります。質が下がれば、もちろん、安くでしか買ってもらえません。そうなると、コーヒー農家の収入が減り、経営も困難になるのです。

『未熟豆』と『熟した豆』をきれいに分ける作業をするのが理想。しかし、大農園にとって、その作業のコストは大きすぎるのだそうです。

「収穫の回数を増やし、熟した実のみを採っていくのは、大農園には難しい。かなりの人手が必要で、そのコストを払いきれない」と、農園主のリチャード。

ブラジル珈琲組合副会長のマウリシオさんは、こう話します。
「外国ではコーヒーを必要としている。ストックは少なくなっていて、もちろん、ブラジルのストックも少ない。それは、今年のコーヒーの価格にも影響を与えるでしょう。」

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ミナス・ジェライス州だけで、約80万人がコーヒー農家へ出稼ぎに来ていると言われています。地域によっては、収穫時の人手不足も深刻な問題。
私たちが想像する以上に、コーヒーの収穫には多くの人の手が必要なのです。…

 

選別作業

前回、コーヒー豆の形には2種類あると書きましたが…

写真の道具が、コーヒーの生豆の形と大きさを選別するための"フルイ"です。

左側がフラットビーン用、右側がピーベリー用。

穴の大きさが違うフルイがいくつもあります。

これをどのように使うかというと…

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重箱のお弁当、いや、跳び箱に似てるかな(笑)
写真のように積み重ねます。

箱についている番号は、豆のサイズを表すスクリーンサイズというもの。数字が小さくなるにつれて、豆のサイズも小さくなります。つまり、あいている穴も少しずつ小さくなるんです。(もちろん18より大きいサイズもあります)

「18」その下に「17」、その下は「10」。これはピーベリー用です。そして「16」「15」と続き、またピーベリー用の「9」。

このように、穴が大きいものを上に、小さいものを下に、その間にピーベリー用のフルイを入れて積み重ねるのです。

全て重ねたものの一番上にコーヒー豆を入れます。そして振るう♪ 二の腕への効果大です(笑)

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すると、写真のように、大きい豆は上で引っかかり、小さい豆ほど下へ落ちていきます。

ピーベリーも穴に引っかかって選別できるという仕組みです。

ところで、この「ピーベリー」ですが、ブラジルでは『モカ』と呼ばれています。ですから、ブラジル人にとって『モカ』コーヒーとは、ピーベリーのコーヒー。

日本で『モカ』といえば、かつてイエメンの港町「モカ」から輸出されていたイエメン産とエチオピア産のコーヒー豆を総称するブランド名。

同じ『モカ』コーヒーでも、中身が違うなんて面白いですね。…

 

コーヒー豆の形

コーヒー豆の形には、2つタイプがあります。

よく見かけるコーヒー豆の形(「フラットビーン」「平豆」と呼ばれたりします)と、コロコロ丸い「ピーベリー」(peaberry)です。

写真上が「フラットビーン」。
写真下が「ピーベリー」。

フラットビーンは、半円球で、平らな面に線が入っています。その線を合わせるようにして一対(2粒一組)仲良くコーヒー果実の中に入っています。

ピーベリーは、コーヒーの果実の中に1粒のみ入っています。枝先にできるため、収穫量は全体の約5%と少ないです。

お店で「ピーベリー」が販売されているのを目にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

では、収穫したコーヒー豆の中から、どのようにこのピーベリーのみを選別するのでしょう。

答えは次回へ続きます。お楽しみに[E:flair]…

 

Coffee Cookie

友人Simoneに教わったレシピの中からご紹介。

『コーヒー&シナモン&チョコレートcookie』

3つのコンビネーション、しっとりした口当たり。ぜひお試しあれ!

実は、このクッキーを作ってみたのですが、美味しくなかったんです… Simoneが作ったものと全く味が違っていてショックでした。後日、チョコチップの質が良くなかったことが判明。お菓子もコーヒーも同じ。「素材の質」の良さがあってこその「美味しさ」なんですね!

<材料 約30枚分>
2個 : 卵
200g : ビターチョコレート(湯銭で溶かす)
小さじ半 : 塩
小さじ3 : レギュラーコーヒーの粉
小さじ1 : シナモン
140g : 砂糖
100g : 小麦粉
小さじ1 : ベーキングパウダー
50g : ココアパウダー
80g : バター(常温にもどした物)
120g …

 

これ、何でしょう?

ブラジルの、あるコーヒー農園で見かけたもの。

これ、コーヒーの実を収穫するために使う道具なんです。

どうやって収穫するかというと…

クシで髪の毛をとかすような感じで、コーヒーの木の枝にこの熊手のようなものを通していきます。この熊手は振動するので、その振動を利用してコーヒーの実を振るい落とすというわけです。

30分この作業をしたら字がまともに書けなくなってしまいそうなほど強い振動です。音も大きいため、ヘッドフォンをして耳を守ります。

一粒一粒手で摘み取ったり、このような道具を使ったり… 多くの方々の努力と情熱が込められたコーヒー、今日も感謝していただきます。
「 農家の方々ありがとう。Muito obrigada[E:heart04]」…